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平成20年度 2学期朝礼

2008.10.01

文化祭・体育祭が終わり、3年生にとっては後6ヶ月、武南生としての生活を残すところとなりました。部活動においては3年生としてもこれからが本番という試合が控えている部もあります。今まで歩んできた集大成として十分な気合いを持って勝利を獲得してほしいと思います。一方、参加する大会が全て終わった部活の部員は、部活動で培った集中力を勉強に発揮してほしい。すでに進路が決定した人も、油断することなく、有終の美を飾るべく、日々精進してほしい。そして、受験に向かって努力している生徒諸君、この時期、進路が決まった人を横目に見ながらの勉強は、焦るなと言っても無理であろう。勿論合格を目指し勉強するのですが、大切なことは、今現在この瞬間に学習していることが試験問題そのものであると言う意識で集中することです。それを続ける意志と行動が最も必要不可欠であると思います。

1・2年生の諸君、受験で勝利するにはスタートが速ければ速いほど有利であるとだけ言っておきます。そして、大切なことは今3年生に言ったことと同じです。

 

さて、今日は私と同年代の、ある人についての話をしたいと思います。

   岡山県での話です。一人の母親が、小学校五年の少年と、その弟を自転車の前と後 ろに乗せて、山腹の沼畔までやってきた。この母親、夫亡き後残された二人の子のた めに、女手一つで必死に働いてきたが、ついに生活苦に耐えかねて子供と一緒に心中 することを決意したのであった。せめて死ぬ前においしいものを食べさせてやろうと、 買ったアンパンを一個ずつ与えた。だが、兄弟はそれを口にしようとはしなかった。 山道をくたくたになりながら、自転車をこいできた母親に、お兄ちゃんの方がこう言 った。「母ちゃんおなか空いただろう。オレ、おなか空いてないから、これ食べなよ」。

 それを見て、小さな弟も「母ちゃん、オレのもあげるよ」。それぞれが小さな手に握 っていたアンパンを、母親の前に差し出した。母親は、溢れる涙を拭おうともせず、 二人の子をぎゅっと抱きしめながら、こんな気持ちの優しい子らを、死なすわけには いかない」。こうして自殺を思いとどまったという。  この少年(兄)は「俺は神宮に咲くかすみ草」の名言を残して、昭和58年に引退 した元ヤクルト4番打者、大杉勝男の幼き日の姿である。彼は昭和53年には日本シリーズを制覇しそのMVPに輝いたが、その14年後に他界した。まだ47歳だった。どうしてこの家庭に、こんなにも優しい心を持った子供が育ったのであろうか。優しさについて、朝から晩まで母親が言葉で説いて聞かせてやったからであろうか。そうではない。自分たちのために、朝早くから夜遅くまで真っ黒になって働いてくれている、この母親の真剣な生き様が、そして折々に滲み出る母親の慈しみ、ぬくもりが幼い子供の心に感謝の心をいつしか植え付けていったのではないか。

 (藤井均氏「埼玉新聞」(コラム欄)より抜粋)

皆さんは、時代が違う今と比較することはできないかもしれないけれど、この話を聞いてどう感じられたでしょうか。

 

学校では、授業で勉強し、体育や部活動で汗を流します。

私は、勉強もスポーツも、大学に合格するためや試合に勝つためだけにやるのではないと考えています。実は、人としてどう生きるかという問いに答えるため、そして、人として生きるとはどういうことなのかを考えるために、勉強に苦しみスポーツで汗を流すのではないかと。今日の話がそんなことを考えるきっかけになればいいなと願っています。

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