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2009年01月08日の記事詳細

平成20年度 3学期始業式

2009.01.08

新年、おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年は丑年です。高村光太郎はその作品「牛」で、

『牛はのろのろと歩く 牛は大地をふみしめて歩く』のように、どんなときでも、いつでも前を向いて、決して器用ではないが、じっくりと力強く歩く姿を表しています。

しかし、それだけではありません。『最善最美を直覚する 未来を明らかに予感する 見よ 牛の眼は叡智にかがやく その眼は自然の形と魂とを一緒に見ぬく』とあり、その隠された優れた能力を讃えています。さて、今日はその隠された能力、というより「脳を活かし隠された能力を開発する」ということについて触れてみたいと思います。冬休みに、茂木健一郎という人が書いた「脳を活かす勉強法」という本を読みました。

 

最近、私は脳が衰えて来たのか物忘れをすることが増えてきました。そこで、少しでも自分の脳を修復できるものならという思いもあって、この本を手にしました。案の定、読み始めて10分くらい経つと眠くなり始めました。その時、本の内容は、次のようなことが書いてあるところでした。『ここで一つ注意しなければならないのは「できることを続けても脳は喜ばない』ということです。ドーパミンは、出来るとわかっていることを成し遂げても放出されません。出来るかどうかわからないことに、一生懸命にぶつかり、苦労の末それを達成したときに大量に分泌されます。「私ってこんなことも出来たの」と意外性が強ければ強いほど、喜びが大きくなる仕組みなのです。』そして、彼は高校時代の英語の勉強法について、『たとえば、僕は「赤毛のアン」が好きだったので、シリーズ全てを原書で読みました。それまで本格的に英語の本を読んだことがなかったのですが、無謀にも辞書さえ引かずに読み始めたのです。今でもその時の感覚を覚えています。最初のうちは読んでいても苦しくて仕方がありませんでした。でも、それを我慢して何冊か読み続けていくうちに、ある瞬間に突然フッと楽になりすらすらと英語が読めるようになっていたのです。』 

その本の内容と比較になりませんが、私も、30ページほどで朦朧となり始めていたのですが、我慢して読み続けました。そしてしばらくすると、眠けが去って行き2時間ほどで読み終わることが出来ました。一気に読み、やった!という気分を味わいました。

 

実は、勉強も部活動も同じだと思います。出来るかどうかわからないことに、一生懸命ぶつかり、苦しみ、汗を流し、時には涙を流す。そういう苦労の末、達成したとき、ドーパミンが大量に分泌され、脳は喜び快感を得る。その快感は苦労して達成したという行動と結び付いて記憶される。そして脳は再び快感を得ようと、同じ行動をとりたくなる。再び、次のチャレンジする行動を起こし苦労して達成した時、その喜びは更に脳を強化し、隠された能力が発揮されることに繋がるということになるのだと思います。彼は言っています。「人間の本当の魅力は、内面的な輝きによってもたらされるものだと思っています。」もちろん私もそう思います。そして、内面的な輝きをもたらすもの、それは、くるしさを経験することであり、困難な壁にチャレンジすることであり、それを乗り越えようとする今の、この今の瞬間の、努力する自分の姿に凝縮されるのだと思います。

 

この1年の一人ひとりの取り組みが「私ってこんなことができたんだ」と脳を喜ばせる行動になるよう、私も同様にチャレンジする一人として強くエールを送りたいと思います。

 

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