正ゴールキーパー 祝! 九州大合格
サッカー部 2016年03月15日
武南のゴールを守り抜いた近藤くん(花の木中出身)が、九州大学工学機械航空科に合格しました。10月末までレギュラーとして頑張ってきた近藤くんは、”高い次元での文武両道”を謳う武南スピリッツの体現者となりました。
『本気でやりたいことがあると、人は強くなれる』 彼の話を聞いていてそんなことを思いました。
単願選抜コースで武南入学を決めた近藤くん、その理由を…「全国制覇をしたかったら」と言います。武南ジュニアユース時代から活躍してきた近藤くんですが、「僕は決して体が大きい方ではないので、ポジショニング、特に、自分一人で守るのではなく、ディフェンス陣全員で守りぬくということを常に考えて、試合中、大きくわかりやすい声を出すことを心がけていました。」
学業の方でも頑張ってきた近藤くん。2年から3年にあがる時には、成績特待生になり、卒業式でも成績優良賞に選ばれました。サッカー部には、練習後に、伝統の20本ダッシュがあります。全国制覇を本気で狙う部活に、妥協や甘えは微塵もありません。近藤くんもへとへとになるまで全力で練習に取り組みます。そして、どんなに疲れていても、文武両立のため、自分にあった勉強法を模索したと言います。「TVを観ないなんてことは当たり前。とにかく勉強する時間をみつけてました。1日2時間半の睡眠でがんばったこともあるんですが、流石に、心臓が痛くなって…(笑)親に『頼むから勉強するな!』って言われ…しかたなく寝てました。(笑)」
近藤くんが、最終的に取り入れた勉強法は…朝、学校でやるということです。毎朝4時30分に起床、学校に6時30分に来て勉強する。というものでした。「朝早く起きるということは、母さんは自分よりもさらに早く起きて、毎日、弁当を作ってくれたわけです。学校に早く来すぎて、教室に入れない時は、校務員の小谷野さんに頼んで鍵をあけてもらったこともあります。自分の周りの人達には本当に感謝しています。」近藤くんは、感謝の気持ちをプラスのエネルギーに替えて、自分をストイックに追い込んでいったと言います。
担任の濱野先生も近藤くんの合格を聞いて大喜び!
「クラスの初めての保護者会で、みなさん子どもの勉強の様子を話す場面だったのですが、近藤のお母さんは…『うちの子には牛乳を飲ませます。背が伸びて欲しいので…』とおっしゃったのが印象的でした。(笑)それから、部活との両立にストイックなまでにがんばる近藤を、お母さんとメールをやりとりしながら見守ってきて…近藤が受かったのは、本当にうれしいけど…お母さんのご苦労とか愛情の深さとか、すごくよくわかるので…お母さんともこのよろこびを分かち合いたいなぁ」それを聞いていた近藤くんが「先生は僕の第二のお母さんですね。」と言うと、「お姉さんでしょう!」と愉快に諭されてました。
近藤くんが、文系に進むか、理系にするか悩んでいるとき、1年の時の担任増田先生に相談して、「文転はできるけど、理転は難しいぞ」とアドバイスをもらい理系に進むことにしたといいます。目標の定まらないまま勉強を続けてきた近藤くんでしたが、怪我で部活を休まなくてはならない時、たまたま宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』を見て…『飛行機を作ってみたい』と心が震えたと言います。以来、今やっている勉強の先に広がる”大空”が見えてきた近藤くん、手始めに、物理の教科書を最初から最後まで、隅から隅まで、野口先生にわからないことをききまくりました。わからない数学の問題があると、朝早く増田先生の登校を待ち伏せすることもあったとか…。授業の後は教員を捕まえて離さない有名な”質問魔”となって、習ったその場で理解することを心がけてきました。
部活での一番の思い出はと尋ねると…「選手権で最後になってしまった試合…僕のミスで負けてしまって…」そう言って言葉を詰まらせました。本気でがんばってきたからこそ、あの時の悔しさもハンパではないのです。良いことも苦いことも色々あった”青春武南時代”、その中で、懸命に努力して掴んだ合格という喜び…。
校長先生が近藤くんをみつけて話しかけてくださりました。
「よくやった。よ~くがんばった。」
そう声をかけ、握手し、肩をたたくと…近藤くんの目から涙がこぼれ落ちました。
『本気でやりたいことがあると…人は強くなれる。』
やりたいことがあるから武南に来て、やりたいことをみつけて武南を羽ばたいていく。
希望の翼は、大空へと…
「今度はノーベル賞だからね!」
濱野先生から、さらに檄が飛びます。(笑)
「もう一人、お礼を言いたい人がいます。」近藤くんが最後に向かったのは…
朝早く教室を開放してくれた校務員の小谷野さんのところでした。
「うわ~こんなことは初めてだよ」 っと小谷野さんもうれしそうでした。
近藤くんの言う「武南に来てよかった!」は「武南で出会えてよかった!」と我々教員には思えました。
合格おめでとう!素晴らしい青春(とき)をありがとう!