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学校法人 武南学園 武南高等学校

『ハムレット』藏谷先生のオススメ

2020/04/13

今年度より武南高校でお世話になります、1年B、G組の副担任を務めさせていただきます国語科の藏谷陽と申します。これから宜しくお願いいたします。

今回皆さんにご挨拶するにあたり、何をお伝えしようか悩みました。国語科ということ、また自粛期間中、ご自宅でも楽しんでいただけるように「おすすめの本」を紹介させていただくことにしました。

今回私がおすすめする本は、松岡和子訳の『ハムレット シェイクスピア全集1』(筑摩書房 平成8年)です。

「ハムレット」や「シェイクスピア」という名前や「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」というセリフを、一度は聞いたことがありませんか?実は、今回紹介する松岡訳の『ハムレット』では、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」というセリフは出てこないのです。代わりに「生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。」というセリフが出てきます。

『ハムレット』はイングランドの劇作家であるシェイクスピアによって書かれています。そのため日本で流通している『ハムレット』は、日本語に訳されたものということになります。そのため訳した人によって、物語の印象が異なってきます。翻訳された物語を読み比べてみるという読書の方法も、とても面白いです。是非試してみてください。

そもそもなぜ私が『ハムレット』を読もうと思ったかというと、きっかけは高校生の時にあります。

私は高校生の頃から舞台を見に行くことが好きで、特に川口市本町出身である蜷川幸雄さんの演出が好きで、よく見に行っていました。これまで様々な舞台を見てきましたが、その中でも一番感動したのが、高校3年生の時に彩の国芸術劇場で見た『ハムレット』でした。予備知識も十分にない状態で見たにも関わらず、とても感動したことを今でも覚えています。あの時の感動が忘れられず、「蜷川幸雄演出『ハムレット』の変遷 ~後期を中心に~」というテーマで大学の卒業論文を書きました。当時、会場で買ったパンフレットも、資料としてとても役に立ちました。4年も前の体験が卒業論文につながるなんて、思ってもいませんでした。

様々な学びや体験が人生を豊かにします。どこでどのようにつながるのか分かりません。生徒の皆さんは、学校生活も日々を楽しみ、有意義なものにしてください。

また翻訳の違いを楽しむ入門として、おすすめの「絵本」もあります。『おおきな木』というシェル・シルヴァスタイン作の絵本です。この物語の日本語訳は、本田錦一郎と村上春樹の2パターンがあります。とても読みやすい絵本で、翻訳による違い手軽に楽しむことができます。詳しい内容をお話ししたいところですがネタバレになってしまうため、興味をもってくれた人は是非読んでみてください。

『ハムレット』は電子書籍で販売されています。しかし『おおきな木』は残念ながら電子版での販売がされておりません。本来であれば直に手にとって読んでいただきたいところですが、今の状況では買いに行くことも難しいと思われます。現在YouTubeで本田、村上のそれぞれの訳のパターンでの読み聞かせがあがっています。動画ではありますが、お楽しみいただけると思います。

読書を通じて、自粛期間中も有意義なものにしてください。

1年B、G組 副担任 藏谷陽

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