『君たちはどう生きるか』藤本先生のオススメ
2020/04/26
普段は本を読む時間もなかなか取れないので、沢山の本と触れ合ってきたわけではなかったが、テレビ等で昨年よく取り上げられていたり、電車の中吊り広告でも見かけた2018年の年間ベストセラーの『君たちはどう生きるか』が気になって読んでみたいと思っていた。そこから1年近く経ってしまったが、今年の夏休みに実家に帰省した時に、親父の戸棚にこの本が入っていて手に取ることにした。私が読んだのは原作ではなく漫画化されたほうである。
原作は昭和12年の本にも関わらず、100万部突破のベストセラーにもなった吉野源三郎さんの小説である。スタジオジブリの宮崎駿監督が映画化するといって話題にもなったそうだ。この漫画の主人公はお父さんを3年前に亡くした中学生、「コペル君」こと本田源三郎君が日常生活での様々な問題に対して、叔父さんと一緒に『生き方』を考えて成長していく物語である。この「コペル君」というのは「人間は世の中を作っている分子だ」という発見をした彼に「コペルニクスと同じくらいの大発見かもしれない」と叔父さんがつけたあだ名だ。叔父さんはそれ以来、いつかコペル君に見せようと、コペル君の発見や日々の出来事、アドバイスなどを大学ノートに綴っていった。そうしてコペル君を励まし、その生き方を導いてくれる人になっていった。始まりは、コペル君のクラスに浦川君という子がいて、いじめっ子グループからちょっかいを出されていて、それを見かねた友達がボスに喧嘩を売る。その時、いじめを受けていた浦川君は喧嘩を止めに入り、なんと自分をいじめていたボスを助けたのだ。この浦川君の行動に感動したコペル君も友達が危ない時は絶対に逃げずに戦うと宣言した。しかし、実際には友達が、上級生にひどい目に遭っている時に見て見ぬふりをしてしまい、コペル君は自分のしたことをひどく後悔し、打ちひしがれた。そんな時、お母さんはコペル君に「自分が若い頃、重い荷物を持って石段を上がるおばあさんの手助けをしようと思いながら、声を掛けることができなかったことを、今でも後悔している」と話した。きっと皆『何故こうしなかったのか』『どうしてこんなことをしてしまったのか』など様々な後悔の経験をしてきていると思う。私自身も幾度となく後悔したことはある。後悔は必ず誰にでもあることで、この経験をどう次に生かすのかが大事であると、改めて考えさせられ、コペル君を通して、自分たちはどのように生きていくのかを問われているように感じる作品だった。色々と感じることのできる本だったので、一度手に取ってみてください。