『荒野をめざす~魂のハイウェイルート66』武田先生のオススメ
2020/05/02
ゴールデン・ウイークいかがお過ごしでしょうか。Stay home の影響もあってか、ホームページの閲覧数が増えています。毎日、学校からの情報を確認している生徒のみなさんはもちろん、ご家族でご覧になっていらっしゃるのではと思われます。また、「田舎のおじいちゃんおばあちゃんもホームページを見ているんですよ」と耳にすることもあるので、今日は大人向けの一冊を紹介したいと思います。
小学校時代に、テレビで『サンダーバード』や『スーパーマン』、『バットマン』に『奥様は魔女』を観て育った世代は、アメリカという国への憧れを強く植え付けられてきました。少し生意気を覚えた頃に、映画『イージーライダー』に出会い、いつかアメリカの荒野を走ってみたい。今は、車に乗ることに興味を持たない若者が多いと聞きますが、アメリカへの憧れを語る友を探すのになんの苦労もない、そんな時代に自分は育ちました。
就職して、家族ができ、いつかアメリカを走ってみたいと語った友と再会し、誘ってみると…「定年してから旅しよう」と現実的なことを言われてしまい…「なら、一人で走ってやるっ!」40歳になった時、そう決心し、準備をはじめました。今から20年前、ネットがここまで発達していなかったので、アメリカのメインストリート「ルート66」に関する情報を得ようと手にとった本の多くが、作家東 理夫先生の書かれたものでした。
『荒野をめざす~魂のハイウェイルート66』(東 理夫著)
先生の作品には、こんな表現がキラキラ輝いていたんです。
「ルート66沿いのごく当たり前の景色を思うたび、まるで別れた恋人にでも感ずるような胸のうずく思いがする。」
レトリックにやられ…。
「直線で有名なのは、カリフォルニアを走るインターステート5号だろう。ことにサンタ・クルスの東、ステート・ハイウェイ152との交差点から南へ、サン・ホアキン・ヴァレー沿いに下って、ホイーラー・リッジまでの約65マイル、265キロがほぼ直線と言っていい。…通い馴れたトラック・ドライバーの中には、道路脇の風景を双眼鏡で覗くものもいるという。少し離れたところにある運動場で、子供たちが野球をやっているのを2イニング見た、という話も伝わっている。」
妙に詳しいルート案内と、アメリカの道って…そこまでなのか?という例え話に駆り立てられ…実際、Harley Davidson にまたがりアメリカを走る旅にでました。
「ミズーリ州に入ると、あのセントルイスのゲートウェイ・アーチを通ってきたせいか、ようやく西への旅をはじめたという感が強い。…セントルイスは東側最後の近代都市という感じがしてしかたがない。」
実際、ゲートウェイ・アーチに登ると、東の窓からは、アーチの影を落とすミッシッピー川、西側にはセントルイス・カージナルズのホーム球場。(『巨人の星』のオズマのいたあのチームです)が見えました。そして、その先は、どこまでも平ら土地が広がっていました。
ルート66から、オレゴン・トレイルに逸れて、起伏が現れ始めたところにネブラスカ州スコッツ・ブラフ国定公園、チムニーロックがありました。開拓当時、東に向かいった開拓民は、この奇岩を見て、どんな思いが溢れたのだろう。丘の上で風に吹かれると、牧歌的なノスタルジーに浸ることができました。
「西へ向かう旅は、たいがい希望というやつが道連れになっている。中部、中西部、南部、東部の人々が新天地を求めて西へ向かった昔と同様、今も西へ旅する人は新規まき直しといった気分が強い。逆に、東への道程は、その西への生活をあきらめて帰ることが多く、たぶんいくらかの苦渋や挫折感をともなっている。」
英語科教員なので、道端で拾った言葉を集めて走りました。
さ~って、ここで問題です。
この写真の青く隠された場所に入る単語(形容詞)はなんでしょう?
良かったら英単語のレッスン(英検2級レベル)も一緒にどうですか?
ネブラスカ州 ガラガラ蛇注意
武南生は心の優しい生徒が多いので、アメリカ好きな自分のことを覚えていてくれた卒業生に、東先生を紹介してもらいました。以来、先生のご自宅に行かせてもらい、アメリカの話をしながら、先生ご自慢のレシピでつくる、美味しいマティーニを傾けさせてもらっています。
「孤独なハイウェイは心に通じています。」
ルート66がつないでくれた、男の浪漫あふれる出会いに感謝です。