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学校法人 武南学園 武南高等学校

『土地の「未来」は地形でわかる』七澤先生のオススメ

2020/05/04

 近頃、新聞やニュースで南海トラフを震源とする、マグニチユード8~9クラスの地震が30年以内に70%の確率で発生するといわれている。日本は地震大国であり、記憶にも新しい東日本大震災や阪神淡路大震災は日本に大きな影響を与えた代表的な地震だ。私たちは地震と隣り合わせの生活をしていく中で、日本はどんな地形なのか、地震による影響は何かを知る必要があると思い、「土地の『未来』は地形でわかる」(災害を予測する変動地形の世界)を紹介したい。

「土地の『未来』は地形でわかる」(災害を予測する変動地形の世界)渡辺 満久著

 

 この著書の中では、『変動地形』や『活断層』といった言葉がよく出てくるが、この言葉に注目して読んでもらうと、内容が頭に入りやすいと思う。『変動地形』とはプレート運動によって作られる地形のことであり、言い換えるならばプレート同士のぶつかり合い、ずれ、などによって引き起こされる地震によって形成される地形のことを意味している。その例として、波の浸食作用によって平らになった部分が隆起することで形成される海岸段丘が挙げられている。このように私たちの身近な場所にも『変動地形』があることを知ることで、プレート運動が私たちの生活に多くの影響が与えられていることをこの著書では伝えている。『活断層』とはプレート運動で加わる力によって岩盤を引き裂く断層のことで、阪神淡路大震災を起こした原因である。これをきっかけに『活断層』という用語が一般社会に定着し始めた。

 21世紀に入ると科学技術の進歩に伴い、次々に『活断層』が認定されるようになり『活断層発見』の時代が到来したようだ。このように変動地形の詳細な解析が進むことで地下構造と変動地形との対応、プレート境界における巨大地震の発生と海底活断層など新たな問題が提起されるようになったという。つまり、これが南海トラフの巨大地層が発生するだろうとい予測に結びついていることがわかるだろう。この頃から原子力施設の安全に関する疑惑が持ち上った。2007年能登半島地震、2007年中越沖地震は、志賀原子細発電所・柏崎刈羽原原子力発電所に大きな影響を与え、原子力施設周辺における活断層評価の杜撰さが国民に理解されるようになったようだ。また、記憶にも新しい2011年の東日本大震災では福島原子力発電所が人的被害を与えたことで、現在は原子力発電所の存在も問題提起されている。

 『活断層』は、日本全国で発見されており、私たちの居住する埼玉県にも張り巡らされている。『活断層』について知ることで、自分たちの身を地震災害から守ることにつながると筆者は述べている。『活断層の探査法』や『海底活断層と巨大地震の深い関係』、『原子力施設と活断層』について詳しく述べられているのが特徴で、地震αのメカニズム、活断層の種類が理感できる内容になっている。これを機会に私たちの身近な災害について少しでも把握し、それぞれの防災に役立ててほしいと思う。