『水力発電が日本を救う』七澤先生のオススメ
2020/05/12
今回は現在の電力問題について取り上げた『水力発電が日本を救う』という本を紹介したいと思う。皆さんの記憶にも新しい東日本大震災によって破壊された福島第一原発、そこから漏れ出した放射線物質の大気汚染により日本は原子力発電所の存在について議論するようになった。今では国内の発電割合は二酸化炭素を排出する火九発電所の割合が極めて高くなっている。日本の電力発電の大半を占めており火力発電がなくてはならないものとなってきている。そんな火力発電に依存している日本だが100年後、200年後には石油が本当にあるのか、原子力があるのかと考えたときには、危機に陥ることが考えられる。そこで.水力発電が必要になるだろうと述べているこの本を紹介していきたい。
水力発電が日本を救うとあるが、日本の自然を破壊して新たなダムを建設するのではなく、今あるダムを最大限に活用するだけで水力発電を2倍3倍にすることが可能であり、それだけで、年間2兆円分の電力を増やすことができる。年間2兆円もの電力を増やすのは、現在のダム活用法の改善にあるようだ。日本のダムづくりのベースとなるルールの一つに「特定多目的ダム法」があり、ここには大きく分けて二つの目的が記されている。それが生活用水・農業用水・工業用水・水力発電に使う水のことを指している「利水」と洪水を予防する「治水」である。台風や暴風雨の際、川に大量の水が短時間に流れ込み、川の堤防が決壊し洪水を引き起こす。そうならないように、川の上流部にダムを築き一時的に水を貯める重要な役割を担っているのが「治水」だ。しかし、ダムの活用法において重要なのは「利水」のほうであり、降雨時に雨をためることで渇水期に備えることが可能だ。筆者は水力発電を行う際の貯水量について指摘している。現在、日本初ダムは満水時の半分くらいの量しかためておらず、水力発電はダムに水がたまっているほど発電量・電力が増すなど有利になり、多く貯めるのに越したことはないからのようだ。「治水」の面からみた時に、洪水が起きないように行っていることだから仕方がないことだと私は考えていた。しかし、停電が生じた場合など対応が取れないなどの理由で、かつての日本が決めたルールが今に至るまで残っているだけであり、停電時にも非常用の電力を備えたり、遠隔操作ができる現在にダムを満水にする必要があると筆者は述べている。このことから新たなダム建設を行わなくても年間2兆円もの電力を増やすことができることを明らかにしている。
この著書には、日常のダムの位置づけ、ダムの安全性、今後のエネルギーの動向が述べられており、筆者竹材公太郎氏は3度のダム作成に携わっている。今後、資源が枯渇していく、エネルギーをめぐる競争が予想される。その中で一つの考えとしてクリーンエネルギーの一つである、水力発電をこの機会ぜひ皆さんに知ってもらいたい。