卒業式 2025 楽しむところから始めてみませんか?
new! 2025/03/07
第60回 武南高校卒業式 が行われました。
今年も、呼名された生徒の返事が響きわたり、校長先生が、呼ばれた生徒一人ひとりに向き直り、会釈を返す、武南らしい厳かで温かい式になりました。
来賓の方々から心のこもったお言葉を多数いただきました。(一部ご紹介します。)
●グローバルで多様性の進む世の中では、相手を思いやる心が必要だということ。
●一人の力は微力でも、決して無力ではないということ。
●親、友達、自分が今ここにいることに対して感謝の気持ちを忘れてはいけないということ。
●チャレンジして、失敗しても、そこから学ぶこと。
●卒業しても、精一杯、次のステージでの青春を謳歌すること。
●成功の秘訣は、決してあきらめないこと。
●卒業は終わりではなく始まりだということ。
生徒代表、フットサル部の川端さんのスピーチは、自然体で、温かく、語られる情景が浮かんでくるものでした。(要約になりますがご紹介します。)
「『生まれつき、なんでもできる子なんだね』って、私は友達に言われることもありました。でも、決してそんなことはなく、朝のタンゴスタを欠かさず取り組み、3年間、努力を続けてきました。フットサル部では、それまでやってきたサッカーと違い…うまくいかず…フットサルを嫌いになってしまいそうなこともありましたが…、まずは、純粋にスポーツをすることを楽しもうと思ったら、壁を乗り越えることができ、試合にも勝てるようになりました。そして、今、一番感謝を伝えたいのは、遅くまで働きながらも、朝早く起きてお弁当を作ってくれた母のおかげで、私は高校3年間頑張ることができたということです。」
涙をこらえながら、最後までしっかり読もうとする川端さん。その姿に、会場の誰もが、もらい泣きしそうになりました。そして、スピーチをやり遂げた川端さんに笑顔が戻ると、こちらまで晴れやかな気分になりました。
今年の3年生はスピーチの上手な生徒が多かったので、もうひとつご紹介します。
卒業式の前日、卒業準備委員の生徒たちと保護者の皆様が、職員室に挨拶に来てくださいました。その時の卒業準備委員長の井関さんの話も感動的でした。
「私は憧れを持って武南に入学しましたが、少し背伸びをして選抜コースに入ったので、2年からは進学コースになりました。負けず嫌いの私は…」と、正直に自分のその時の心情を吐露しながら、担任の先生が励ましてくれたこと、自分ひとりで悩んでいると思っていたけど学年主任の鈴木先生がちゃんとそんな私を見守ってくれてたこと、などが語られました。そして、高校時代、一番の思い出として、九州修学旅行の話をしてくれました。修学旅行では、井関さんが自ら進んで修学旅行委員長を務めました。そして、みんなの前でスピーチをしたり、平和記念像の前で平和の誓いをしたことは、世界平和の大切さを改めて実感しただけでなく、自ら進んで高い壁に挑戦することを楽しむ経験こそが、自分を成長させるのだと気づいたそうです。そして、スピーチの最後には、保護者の方を向き、感謝の言葉までありました。最初、緊張していたようですが、原稿を見ることもなく、5分近く自分の言葉で語ってくれたのです。
まさに圧倒的でした。保護者の方々にも、教職員にも、いかに井関さんが自分自身を成長させてきたのかが伝わる素晴らしいスピーチでした。こんな武南生がいることを誇りに思いました。
「楽しむところから始めてみませんか?」
みなさんは、この言葉を覚えていますか?
昨年の夏、FNS 27時間テレビの企画で、武南ダンス部とタレントのチョコレートプラネット・松尾さんが共演することになりました。松尾さんが武南に来て、一緒に練習を始めたのですが…、さすがの松尾さんも、多忙で疲れがたまっていたこともあり、思うように踊れず落ち込み、投げ出しそうになってしまいました。
その時、松尾さんにダンス部の生徒がかけたひと言が、「楽しむところから始めてみませんか?」でした。
川端さんの答辞にも、卒業準備委員長・井関さんのスピーチにも、「進んでやることを楽しむ」という言葉がありました。
「楽しむことから始める」――これは、何かに挑戦するときの大きな力になる言葉です。
そんな前向きな気持ちが、生徒たちに根付いているのだと感じました。
昨日のクラスでのお別れ会のあと、ある先生が笑顔で話してくれました。
「最後に、クラスのみんなで一人ずつコメントを言っていたんですけど、3年になってから休みがちだった生徒が、
『受験のことで頭がいっぱいになって…休むことが多くなってしまったけど、今、こうしてみんなの話を聞いていると、自分はずっとみんなに支えられていたんだなって思いました。ごめんなさい。そして、ありがとう。』
って言ってくれたんですよ。うれしかったなぁ。」
「〇〇大学に合格しました!」という報告は、もちろんうれしいし、もっともっと聞いていたい。
でも、時には、うまくいかなかったり、失敗したりしたとしても、生徒たちが成長していることを実感できる――そんな学校でありたい。
今年の卒業生も、心の温かい生徒ばかりでした。改めてそう強く感じています。
ご卒業おめでとうございます。