真に健全で個性豊かな人間教育の樹立

学校法人 武南学園 武南高等学校

卒業式 式辞

2018年03月07日

例年に無く寒さの厳しい冬も過ぎ、日増しに明るさが増してきました今日の良き日に、

川口市教育長 茂呂 修平様をはじめ、たくさんの御来賓ならびに保護者の皆様の御臨席を賜り、

ここに武南高等学校第53回 卒業証書授与式を挙行できますことは武南高校にとりまして

この上ない喜びとするところでございます。

御臨席賜りました皆様に厚く御礼申し上げます。

 

ただ今、呼名されました422名の皆さん、御卒業おめでとうございます。

また、保護者の皆様をはじめ、本日まで支えていただきました方々に感謝申し上げますと共に、

御卒業を心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。

 

さて、武南高校は創立以来「真に健全で個性豊かな人間教育」を目指し、知徳体の調和の

とれた人材の育成に向け文武両立の教育を実践してまいりました。この方針をより明確に

打ち出し、一層の成果をあげるため、昨年4月から「文武創造」を掲げました。

本日卒業する皆さんは在学中から武南高校の発展、充実に大きな貢献をしてくれた学年です。

卒業にあたり、今後のさらなる活躍を期待して3点、お話しします。

 

1つ目は、文武創造を実践することです。皆さんが活躍する時代は、科学技術の加速度的進化、

社会の複雑化、多様化が進展し、未来の予測が困難な時代になると言われています。

予測できないのであれば、「明るい未来は自分で創りあげていく」という気概と創造力を育てる

というのが文武創造です。

今年の2月に行われた、オリンピックのスピードスケート500mで優勝した小平奈緒さんの活躍は

記憶に新しいことです。小平さんは、4年前のソチ大会の反省を元に技術を磨きました。

古武術などの先人の知恵に加え、解剖学などの科学的なアプローチなども取り入れました。

まさに「文は武で鍛え、武は文で磨き、自分しかできないことを創造する」、

これが文武創造です。文武創造を実践し、鍛え上げた創造力で、自分しかできない

「こと」「もの」を、新しい「価値」を創造し世の中で必要とされる人になって下さい。

 

2つ目は、創造力をつけるために「なぜ」という問いを常に持ち続けることです。

高い知能と社会性を持つという猿の仲間のボノボは、キーボードを用いて

人間とある程度の意思疎通ができます。しかし、人間と大きく異なる点は

「なぜ」という疑問を持たないことです。「なぜ」は創造力の源です。

今話題の人工知能は様々な領域で人間の能力を超えていますが、

人工知能でも意味を理解することは苦手としています。「なぜ」という問いを

持つことができないのです。

人間しか持てない問い「なぜ」は物事の本質を見極める最善の方法なのです。

 

3つ目です。「うまくいかない理由を人のせいにしないこと」です。人のせいにしても

誰も得をする人はいません。何も解決しません。物事は思い通りには進まない

ことのほうが多いのです。うまくいかない場合でもその原因を人のせいに

しないでください。うまくいかない理由を冷静に考え、分析し、自分が為すべきことを

明確にして努力を続けて下さい。

京セラ、KDDIの創業者であり、JALを再建したことでも知られている稲盛和夫氏は

こう言っています。「これがないから、あれがないからできない。

できない理由ばかりを並べ立てる人がいます。しかし、何もないからできないと

考えていては、新しいことなどできるわけがありません。」

新しいこと、真の創造は、何がだめだからうまくいかない、と人のせいにしたり、

周りに頼ったりしても生まれてきません。自分を信じ、自分のよりどころを求め、

なんとしてもやり遂げるごいう情熱のもとに、真の創造は生まれてくるものなのです。

 

文武創造を実践し、真に健全で個性豊かに成長して自分しかできない

新たな価値を創造する力を身につけましょう。そして、世の中で必要とされる人と

なって下さい。

皆さんの活躍を期待して、式辞といたします。

 

平成三十年三月六日

武南高等学校校長 本多 昇