真に健全で個性豊かな人間教育の樹立

学校法人 武南学園 武南高等学校

卒業式 式辞

2019年03月05日

 武南学園校歌にあります「彩雲わけて昇る日の 朝の光が」輝きを

増してきました今日の良き日に、たくさんのご来賓並びに保護者の皆様の

ご臨席を賜り、ここに武南高等学校第54回卒業証書授与式を挙行できますことは、

武南高校にとりましてこの上ない喜びとするところでございます。

ご臨席賜りました皆様に厚く御礼申し上げます。

 

 今年の卒業生は武南高校第54期生と、武南学園で6年間学び大きな成果を

あげてくれました中高一貫第1期生です。武南高校にとりまして、新たな歴史の

始まりでもあります。ただ今呼名された421名の皆さん、

卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様をはじめ、本日まで

支えていただきました方々に感謝申し上げますとともに、御卒業を心より

お祝い申し上げます。おめでとうございます。

 

 さて、人類の社会生活の進化の区分として、

狩猟生活の社会を「ソサエティ1.0」、農耕生活の社会を「ソサエティ2.0」、

工業社会を「ソサエティ3.0」、現在の情報社会を「ソサエティ4.0」、

そして卒業生の皆さんが活躍する社会は「ソサエティ5.0」といわれています。

ソサエティ5.0の社会では人工知能、ビッグデータ、Internet of Things、

ロボティクスなどの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、それによる

イノベーションから新たな価値が創造されることにより、質の高い

人間中心の社会を目指していきます。この社会で活躍できる人材を育てるため、

武南高校では7つの建学の精神に基づき「文武創造」を掲げ、ソサエティ5.0の

社会で最も必要となる力「創造力」を育ててまいりました。

 

 卒業にあたり、ソサエティ5.0の社会で活躍するための創造力にさらに

磨きをかける方法を3つお話します。

 

 1つ目は、「なぜ」という問いを常に持ち続け、「なぜ」を繰り返し

本質を見極める力をつけることです。様々な分野で人間の能力を超えた

人工知能ですが、人工知能は「なぜ」という問いを持つことが

できません。人間しか持てない「なぜ」という問いを繰り返すことで

課題の本質を見極めることが可能になります。課題の本質を見極める

ことが課題の解決につながり、新たな価値の創造につながります。

 

 2つ目は複数の視点を持つことです。複数の視点を持つには本をたくさん読むこと、

多様な人たちとのネットワークを広げ、多くの人の話に耳を傾けることです。

そうすると相手の立場、反対の立場、一段高い場所からなど、多くの視点を

持つことができます。複数の視点を持つことは本質を見極めることに

役立つとともに、人間としての幅の広がり、優しさにもつながります。

自分が良いと思うことでも立場を変え複数の視点から見ることが大切です。

誰にとって正しいのか、誰にとって良いのか、立場を変え視点を変え本質を見極め

柔軟な思考を持ち、全ての人にとって優しい社会を作るための

創造力を磨いてください。

 

3つ目は人のせいにしないということです。人工知能は不平不満を

言いません。人間は不平、不満、不足、不便、不自由、不快を

感じます。これは人間の欠点でもあります。しかし、不平、不満、

不足、不自由を感じたということは課題を発見した、ということです。

課題の発見は人工知能にはできないのです。人間にしかできません。

そこで、せっかく課題を発見したのですから、それを

「人のせいにしないこと」です。「人のせい」にしても得をする人は

誰も居ませんし、何も解決しません。自分に何ができるかを考え、

何がだめだからうまくいかない、何がないからだめだと

人のせいにしないことです。そして不自由、不便、不足から

「不」の字を取り去る努力を続けることです。新しい価値を生み出す

真の創造は、自分を信じ、なんとしてもやり遂げるという情熱のもとで

不平、不満、不便から「不」の字を取り除く努力を続けることです。

人のせいにしない人には必ず幸運が訪れます。

 

 文武創造で鍛えた創造力で、ソサエティ5.0の世界で新たな価値を

創造し、人間中心の豊かな社会を築くことのできる人となってください。

それでは皆さんの活躍を期待して式辞といたします。

 

 平成31年3月5日 武南高等学校校長 本多 昇