真に健全で個性豊かな人間教育の樹立

学校法人 武南学園 武南高等学校

3学期 終業式

2019年03月23日

学年末の終業式が行われました。

校長先生は次のようにお話をされました。

「皆さんおはようございます。5日の卒業式は皆さんの協力で

 素晴らしい卒業式になりました。ありがとうございました。

 卒業生の大学受験の結果ですが、国公立の後期試験まで

 頑張って結果を出してくれた生徒が多くいました。彼らは

 最後まで諦めないことの大切さを証明してくれました。

 学校を信頼して学校を中心とした受験勉強をした生徒が

 結果を出してくれました。

 

 そこで、今日は武南高校の来年度の重点目標について話します。

 それは授業を大切にすることです。当たり前ですが全ての授業に

 ついてです。受験科目かどうかは関係ありません。全ての授業を

 通じて皆さんにとって必要となる力をつけていくということです。

 

 全ての教科を勉強することが大切です、というとすぐに問題と

 なるのが文系・理系という分け方です。では、なぜこの文系・理系

 という分類が生じてきたのかということですが、東京工業大学の

 橋爪大三郎教授の説によると『そもそもこんな区別があるのは、

 発展途上国の特徴である。黒板とノートがあればすむ文系に比べ、

 理系は実験設備に金がかかるので、明治時代の日本は学生数を

 しぼらざるを得なかった。そこで数学の試験をし、文系・理系を

 振り分けることにした。入試問題が別々なので、その前の段階で

 文系・理系を選択していかなければならない。』と言っています。

 

 皆さんは既に文理分けを経験しています。決めかねている人も

 無理やりどちらかを選んだと思います。私立大学の入試についても

 受験者の数を増やすために科目数を減らしているわけです。

 本当に皆さんの将来にこの教科が必要かどうかで分けている

 わけではないということです。すでに、時代は変わってきています。

 大学入試も変わってきています。学力の3要素、つまり

 ①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性・協調性・多様性

 を、大学入試でも試される時代になったのです。ですから入試の問題も

 その教科の知識だけでは解けない問題、総合的な力がないと

 解けない問題も増えてきています。もちろん各教科の知識・技能が

 身についていることが前提です。授業を中心に知識・技能をしっかりと

 身につけてください。思考力・判断力・表現力、主体性・協調性・多様性は

 どの教科からでも学ぶことができます。部活動でも、学校行事からでも

 学べます。どの教科で学んでも共通なのです。数学からでないと、

 英語からでないと学べない、というものではありません。ですから全ての

 教科、全ての授業を大切にすることが、大学入試改革の変化に対応して

 第一志望を実現する一番の近道になるのです。高校の授業にいらないもの、

 無駄なものは1つもないのです。どの授業も大切にして、授業に集中し、

 どの授業からも必ず何かを学び取ることです。

 

 繰り返しますが、全ての授業を大切にすることを来年度の重点目標として

 いきましょう。そして幅広く、これから皆さんが必要となる力を

 授業中心にして身につけていきましょう。

 

 昨年の3学期の終業式で話したので2年生は覚えている人がいると思います。

 『梧鼠の五技』ということわざの話をしました。梧鼠とはムササビのことです。

 ムササビは木から木に手足を大きく広げて飛び移ることができます。

 もちろん木登りもできます。泳ぐことも、走ることも、穴を掘ることもできます。

 これらが五技であるのですが、このことわざはあまり良い意味では

 使われていません。ムササビは色々な特技を持っていますが、それがどれも

 極めた技能ではありません。しかし、ムササビはこの5つの特技をバランス良く

 持っているからムササビとして生きていけるのです。大学合格だけを考えれば、

 必要な受験科目だけ勉強するのが合理的かもしれません。しかし、大学入試

 そのものも総合力が必要な問題に変わってきています。また、その先を

 考えれば、この『梧鼠の五技』のように幅広くバランス良く学んでおくことが

 大切です。さらに大学入学後、自分の得意分野を伸ばしていくためにも幅広い

 教養の基礎があるのとないのでは大きな違いになってきます。教養、つまり

 リベラルアーツについても、前に話したと思います。

 

 教養、リベラルアーツはリベラル『自由』になるためのアーツ『技術』

 なのです。一般教養をつけるということは自分の可能性を広げることです。

 全ての授業を大切にしていきましょう。」